BALL watch~より高い性能~vol.2
2023/03/01
Waterproof
防水性
ねじ込み式リューズ
ねじ込み式(回転式)リューズとは、主にダイバーズウォッチなどに
採用されているリューズで湿気や水、埃などの侵入を防ぐためにねじ式構造
になっています。リューズを右(時計回り)に回してチューブの根元まで
しっかりと締め、隙間をなくすことで高い気密性を保持します。また、
ゼンマイの巻き上げ、時刻やカレンダーの早送り設定をする場合は、
リューズを左(反時計回り)に回して緩めることでリューズがせり出し、
時刻などの設定などが出来るようになります。
自動減圧バルブ
深海で安全に長時間活動するために、プロのサチュレーションダイバーの
方々は飽和潜水の技術を採用しています。これは潜水した人が急速に
大気圧の場所に出たときに起こる減圧症を防ぐため、あらかじめ体内に
ヘリウムなどの不活性ガスを飽和状態になるまで吸収させることで体調を整える手法です。
しかし、ヘリウムは時計をシーリングしているOリング(パッキン)
素材の分子構造を通過してしまうため、この過程においてダイバーが着用している
時計のケース内部へもヘリウムが侵入してしまいます。そして、
このままの状態で何もせずに浮上してしまうとケース内部に充填したヘリウムが
膨張し風防を破損する可能性があるため、ケース内部が高圧になった時に自動的に
ヘリウムを外部へ排出する機能が「自動減圧バルブ」です。「減圧バルブ」は手動、
自動の2種類のタイプがあり、一般的にケースサイドの9-10時の位置に配されています。
飽和潜水をする方々にとっては必要不可欠な時計の機能の一つです。
チタンのモノブロックケース
一般的に時計のミドルケースには、風防、リューズ、バックケースなどの部品を
結合するために3つの穴を設けます。防水性能を高めるための最も重要なポイントは、
これら3つの各部分とムーブメントを収納するミドルケースをOリングと
呼ばれるゴムパッキンなどで確実にシーリングすることです。さらに気密性を高めるために
確実な方法は、シーリングが必要な箇所自体を減らすことです。リューズや風防を
留めるベゼルをミドルケースに一体化させることは難しいですが、ムーブメントの
脱着を容易にするためのバックケースはミドルケースと一体化することが可能です。
これがバックケースのない「ワンピースケース」構造です。ただし、
工作精度が維持できなければ、却って逆効果にもなりかねませんので、
ケース加工の難易度は格段に上がります。ボール ウォッチではこれを難切削材の
代表選手であるチタンをモノブロック(塊)の状態から削り出すことで、
バックケース一体型の「ワンピースケース」を作り出しているのです。
この特殊ケースからムーブメントを脱着する時は時計の裏側から取り出すことは
出来ませんので、表側から回転ベゼル・風防、針、
文字盤などを外して取り出すことになります。
Accuracy
高精度
スイスCOSC認定クロノメーター
かつてアメリカの時計産業において“高精度の証”として知られた「鉄道標準時計」の
作り手として名を馳せたボール ウォッチ。時計産業のマーケットリーダーが
スイスへと移り変わった現代では、「クロノメーター」が高精度を体現する象徴的な
存在となっています。ムーブメントの精度を認定する団体はいくつか存在しますが、
スイスクロノメーター検定協会(Contrôle Officiel Suisse des Chronomètres 、C.O.S.C.)
は最も著名な検定機関として知られています。検定は恒温状態を保ちながら
15日間、3温度、5姿勢で行われ、日差が-4秒から+6秒以内に収まっていることが
条件とされます。この際、検定を受けるムーブメントにはダミーのホワイトダイアルと
針がセットされ、針位置を写真撮影してその角度差を計算することで、
実際の誤差が評価基準となります。これに合格したムーブメントが
「COSC認定クロノメーター」として扱われ、
搭載モデルにはダイアルなどに表記が入れられます。
スプリングロック
ヒゲゼンマイは同心円状に巻かれた繊細な小さなバネで、テンプと一体になって時計の
規則性を司る調速機の一部の部品です。この装置の機能いかんで精度に差が生じますが、
髪の毛1本よりも細いとされるヒゲゼンマイの脆弱さは現在も時計メーカーに
とっては悩みの種の一つです。「スプリングロック耐震システム」は、
このヒゲゼンマイの周囲をケージ(赤色の部品)で覆うように設計した構造で、
ボール ウォッチが特許を取得した独自の耐震システムです。このシステムは、
時計に衝撃が加わった際にヒゲゼンマイが必要以上に動いてしまわないように
慣性を抑制し、規則正しく伸縮運動できる元の位置に早くヒゲゼンマイを戻すように
復元力を高めています。また同時に、ヒゲゼンマイの破損や変形、
ヒゲ絡みも防ぐことができます。ISO1438耐衝撃時計の定義である機械式時計が
衝撃を受けた際の残留歩度の基準は±60秒/日ですが、
この構造により±20秒/日に抑えることに成功し、
計算上ではヒゲゼンマイにかかるストレスの約66%をキャンセルすることができます。
「COSC認定クロノメーター」が出荷状態における高精度を保証するものとするなら、
「スプリングロック耐震システム」は衝撃時に起こりうるヒゲゼンマイの
トラブルを防ぎ、精度を安定させるためのシステムと言えます。
Manufacture Movement(80hours)
自社ムーブメント(80時間駆動)
RR7309-C
ボール ウォッチ初となるマニュファクチュール ムーブメント<RR7309-C>は、
当社が目指すタフ&ディペンダブルな時計を具現化するために開発されました。
毎時28,800振動のハイビートムーブメントは、一般的な機械式時計の最大駆動時間を
大幅に超える約80時間のロングパワーリザーブ機能をシングルバレル(香箱がひとつ)に
より実現しています。同機能は金曜日の帰宅後に時計を外し月曜日の朝に同じ時計を
着用しても駆動し続けており、非常に実用的で現在益々ニーズが高まっている
機能のひとつです。一方、このムーブメントは当社R&D部門によって設計
されていますが歯車やテンプなど一部の部品については、約40年以上にわたり様々な
メーカーで使用され部品流通量が世界的にも安定している他社製ムーブメントの部品を
共通部品としてRR7309-Cに組み込んでいます。これは、長期的なメンテナンス部品の
確保のしやすさという点だけではなく、コスト面、そして長年にわたり
グローバルマーケットで供給され続けてきたムーブメントの部品というその信頼性の
高さから採用されています。またこのムーブメントは、
C.O.S.C.(Swiss Official Chronometer Testing Institute: スイス公式クロノメーター検査協会)
が実施する厳しい試験にも合格しており、第三者による客観的な時計の精度に
関する信頼性も得ています。さらに精度の安定を図るために14型サイズのムーブメントに
合わせた大型のローターを取り付けることで、ゼンマイの巻上効率も向上させています。
堅牢で高精度なムーブメントRR7309-Cは、今後のボール ウォッチの製品開発を支える
ベースキャリバーとして様々な商品に採用されていくことでしょう。
904L Stainless Steel
904L(スーパーステンレススティール)
ボール ウォッチの中でも選り抜きのタイムピースには、ケース・ブレスレットの
素材としてスーパーステンレスと呼ばれる904Lステンレススティールを採用しています。
904Lステンレススティールは、腕時計に使われているステンレススティール素材の
中でもクロム、モリブデン、ニッケル、銅などの含有量が高く、腐食、さび、酸に対して
優れた耐性を備えています。さらに過酷な状況に耐えうる高い硬度を有しており、
さらに経年耐性にも優れ、磨くほどに外観的にも極めて美しい光沢を保ちます。一方で、
成形加工が難しく成形時には特殊な加工技術を必要とします。つまり、
耐腐食性に優れるオーステナイト系ステンレスと、硬度の高いフェライト系ステンレスの
両方の特徴を併せ持った金属なのです。現在、この素材は時計界ではごく限られた
一部ブランドでしかまだ採用されておらず、ボール ウォッチでは
この特殊素材を2019年から使用しています。